由香里さんの厚揚げときゅうりの炒め物
【料理人・守永江里の名もなき料理】


料理名がつけられておらず、ごく普通に家庭の食卓に並ぶ『名もなき料理』を研究しているのが、山口県出身の料理人・守永江里さん。今回は「由香里さんの厚揚げときゅうりの炒め物」をご紹介。

非日常にはいつもの食材が手元にない。そんな時に、ありもののなかでどう料理するか。思考を柔らかくする料理記事です。

[名もなき料理とは]

 

辛いものが好きという話になったところ、「辛いもの美味しいよね~。厚揚げときゅうりと青唐辛子を炒めたものとかよく作るよ」と由香里さんが教えてくれました。作り方は、厚揚げときゅうりを炒めてだし醤油で味付けをするだけ。教えてもらった翌日、早速真似てみたところ、カリッと焼けた厚揚げと、シャキとしたきゅうりとの食感が楽しく、どんどん箸が進む一品でした。

きゅうりを炒めるのは初めてだったのですが、食べてみると納得です。色が鮮やかになり、コリコリした食感が加わり、炒め物にぴったりな食材でした。きゅうりは切るのではなく、叩いたりちぎったりするのがポイントで、そうすることでだし醤油をよく吸って味わい深くなります。

由香里さんは、新鮮で美味しそうなきゅうりや青唐辛子が手に入った時に、作られるそうです。ご家族も辛い辛いと言って、食べられるそうなのですが、お子さん達には辛すぎるようで、ママの舌はぶっ壊れてると言われるそうです(笑)人が美味しいと感じる調味料の閾値は幅広く、辛さは特に人によって違いますよね。辛さが話題となり、盛り上がっている由香里さんのご家族の姿がよく想像できます。お邪魔して夜ご飯をご馳走になった時、楽しくてとても居心地がよかったです。

しかも、元料理人さんであるご主人のお料理も並ぶので、話だけでなく箸も止まりません。私以外の遊びに来た方々も、ここに来ると楽しくて帰られないと言っていました。青唐辛子を食べないようにして、厚揚げときゅうりだけを食べればそんなに辛くないので、辛いものが苦手な人がいるご家庭でもみんなで美味しく食べられる一品だと思います。そして話題性もあって盛り上がるはず。

炒めたきゅうりが癖になって、教えてもらってから週4日くらい“ 由香里さんの厚揚げときゅうりの炒め物 ” を作って食べています(笑)何より簡単でどんな日でも作れちゃうのが嬉しいです。きゅうりを炒めたことのない皆さんは、新しい世界へどうぞ♪

青唐辛子はお好みの量で作ってくださいね。私は厚揚げ一枚に対して、小さめの青唐辛子2本入れています。由香里さんは青唐辛子を刻まずに丸ごと入れて炒めるそうです♪辛いものが苦手な方はししとうで代用しても美味しいです。

【 材料 】(写真は2倍量です)
・厚揚げ 1枚(200~250gくらい)
・胡瓜 1本
・青唐辛子 お好みで
・だし醤油 大さじ1強
・油 適量

【 作り方 】
(1) 胡瓜は天地を落とし、袋に入れる。棒で叩くか体重をかけて踏んで砕く。割けたら食べやすいサイズになるようにちぎる。
(2) 厚揚げは、12等分くらいに切る。青唐辛子は小口切りにする。
(3) フライパンに油を熱し、厚揚げを並べ入れる。きつね色になったらひっくり返し、端に寄せ、胡瓜を入れる。
(4) 胡瓜にも焼き色がついたらだし醤油を入れて炒め合わせて完成。

 

できることなら、話題性のある料理を毎日のように作って、家族に楽しんで欲しいと作り手は思いますよね。でも毎日毎日、新しいものを作る余裕などもてません。名もなき料理のように、一度耳で聞いたらすぐ真似できるくらいの簡単な料理に挑戦してみるのがちょうど良い気がします。肩の力を抜いて、新しさにわくわくする余裕を持って調理することが大切だと思うからです。

次回は『 柴崎家の白菜の煮物』をご紹介します

 

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この記事を書いた人

もりえり。
もりえり。料理人
鎌倉市在住の料理人です。『もりえり。』と呼ばれています。
数店舗の日本料理店で調理を学びましたが幼少期より母親に教えてもらった愛のある料理が学びの基盤です。

苦手なことは、言葉で想いを伝えること。
得意なことは、料理で想いを伝えること。

趣味は料理以外にフットサル、釣り、スケボー、寝ることです。