料理名がつけられておらず、ごく普通に家庭の食卓に並ぶ『名もなき料理』を研究しているのが、山口県出身の料理人・守永江里さん。今回は「まいさんのキーマカレー」をご紹介。
非日常にはいつもの食材が手元にない。そんな時に、ありもののなかでどう料理するか。思考を柔らかくする料理記事です。
[名もなき料理とは]
まいさんのキーマカレー
まいさんは2人のお子さんと、旦那さんと4人で暮らしています。晩御飯づくりをするのは基本的に旦那さん。リモートワークの中、時間を割いて家族全員分の夕食を作ります。繊細で彩り豊か、そして栄養バランスまで考えられたお料理で、家族みんな晩ごはんの時間を楽しみにしています。
そんな旦那さんも、実はジャンクフードが好きなんだとか。だけど、家族みんな健康でいてほしい。そういう思いから普段は体に気を遣った食事を作り続け、ご自身も食べられています。そして、まいさんは大皿にどん!とご飯がすすむおかずを作るのが得意なのだそうです。方向性の違ったお料理がおうちで食べられるなんて、お子さんたちが羨ましい!
家事に協力しているのは、ご夫妻だけではありません。朝の玄関掃除は中学生の娘さんが担当。お花の水やりとゴミ捨ては小学生の息子さんがするのが日課です。そしてお風呂掃除は順番に。できない日には、姉弟で助け合い、2人だけで自分達の家事を解決させるそうです。最近は、お米マイスターのお話を聞いて興味を持ったという息子さんが、お米研ぎも自ら進んで担当しています。
[キッチンに立つ叶多くん]
「忙しいのはみんな一緒。だからみんなで協力して暮らしていこう」という考え方を共通でもっています。けれど協力してもらう、というのはとてもエネルギーがいることですよね。わたしだったら、お願いして嫌な顔されたら嫌だから、大変だけど自分がやろう……って思っちゃいます。協力してもらうために働きかけたまいさんや、ご家族の皆さんもいろんな努力があって、家仕事分担スタイルを確立したのではないでしょうか。
そうして自分のことは自分でするのが当たり前になっているお子さんたちは、生活力をしっかりと身につけていらっしゃいます。これは学校で学べることではないですが、これから先、どこでどんな生活をしていくにもとってもとっても大切なこと!
「仕事から帰ったら、栄養たっぷりのごはんと温かいお風呂が用意されているの」と2児のママさんが言うのです。週末は忙しい!っていうのが家事に忙しいママさんあるあるだと思いますが、私がイメージをする小学生のママさんとは違って余裕のある姿、まいさんかっこいいなぁ~って思いました。笑
とある日のキーマカレーも、みんないろんなことがあった1日を終えて、リビングの円卓で4人顔を合わせながら食べたそうです。まいさんご一家を見習って、“ちからを合わせるちから”を身につけたいです。
『まいさんのキーマカレー』の作り方
具沢山のキーマカレー。お肉よりも野菜がたっぷり入っていますが、食べ応えは十分です!そのとき、おうちにあるお野菜で。わたしは、とある日のまいさんのキーマカレーの具を真似して作りました。れんこんのしゃきしゃき食感や、プチッと噛むと爽やかに香るコリアンダーシード、たまに感じられるサツマイモの甘味など、バランスがよく飽きが来ないのでたくさん食べられます!この組み合わせ、おすすめです!
【 材料 】3~4食分くらい
・豚ひき肉 200g
・好きな野菜や豆
※ とある日のまいさんの具材は、
玉ねぎ・にんじん・れんこん・さつま芋・しめじ・にんじんの葉・いろいろな煮豆
・カレールー 2~3皿分くらい(刻んでおく)
・ケチャップ 大さじ1
・ソース 大さじ1(ウスター、お好み、なんでもOK)
・コリアンダーシード 小さじ1/2
・ガラムマサラ 適量
・醤油 小さじ1
【 作り方 】
(1) 野菜をみじん切りにする。
(2) フライパンを温め、豚肉を炒める。豚肉に火が通ったら野菜をいれ、火を通す。
(3) カレールー、ケチャップ、ソースを入れ混ぜ合わせる。カレールーは、野菜の量によって調節する。
(4) 煮豆を入れて温まったら、コリアンダーシード、ガラムマサラ、醤油を入れる。しっかり混ぜ合わせたら完成。
『まいさんのキーマカレー』を作り終えて
思いやりをもって、大切な人と暮らす。というのが幸せの最上位だと思います。やっぱりわたしにとって、料理というものは、わたしと大切の人たちをつないでくれるものであり相手を思いやる気持ちを込められる、伝えられるツールです。
これまで59品の名もなき料理について書かせていただきました。人の心を温める料理には、華美な装飾や技術は必要ない、名前さえないようなものでもいい。むしろそういう料理が心に残り続けるものだと、確信しました。
料理人としてこれからやっていくことは、飾りものや技術の見せ方にこだわるのではなく、人を想う心を育て、人間としてもっと成長していくこと。心で作り、心で食べる、そんな食事をたくさんしていきたいです。
この記事を書いた人
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鎌倉市在住の料理人です。『もりえり。』と呼ばれています。
数店舗の日本料理店で調理を学びましたが幼少期より母親に教えてもらった愛のある料理が学びの基盤です。
苦手なことは、言葉で想いを伝えること。
得意なことは、料理で想いを伝えること。
趣味は料理以外にフットサル、釣り、スケボー、寝ることです。
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