料理名がつけられておらず、ごく普通に家庭の食卓に並ぶ『名もなき料理』を研究しているのが、山口県出身の料理人・守永江里さん。今回は「はるとくんのミートソース」をご紹介。
非日常にはいつもの食材が手元にない。そんな時に、ありもののなかでどう料理するか。思考を柔らかくする料理記事です。
[名もなき料理とは]
はるとくんのミートソース
小学生のはるとくんの大好物は、ママが手作りするミートソースのスパゲッティ。「ママの料理はいつもめっちゃおいしい!」と賞賛しています。トマトは苦手だけど、このミートソースは大好きなんだとか。
はるとくんのママに作り方を聞いてみると、「まずは、ステーキ肉を小さく切ってね……」と、なんと使用するのはステーキ肉!「安い時に買って作るんだよ。安いのがない時はひき肉で作るよ」と教えてくれました。料理歴は私の方が長くても、子育て歴は大先輩で、いつもやりくり上手のおいしい料理に勉強になることばかりです。
台所に立つママやパパの姿を見てきて、はるとくんも料理に興味津々。いつもお手伝いをしています。食器洗いもピーラーを使った野菜の皮むきもお手のもの。弟くんたちもはるとくんに続いてみんなでお手伝いをするそうです。小学生や幼児のお手伝いを見守るママは、実は大変。ですが、だんだんと見守る時間も減り、任せられることも増え、家族みんなで協力して生活していくのでしょう。
「いつかみんながお買い物についてきて『ママ、荷物持つよ』とか言ってくれそうだね!」なんて言ってみると、もう小学生にして既に、ママの荷物を持とうとしてくれるとのこと。なんて優しくて強いはるとくん。毎日家族のために、愛をもって台所に立ち続けると、いろんな優しさが返ってくるのですね。
今日、いちばんたのしかったことは「友達とドッヂボールをしたこと!」とエネルギーをいっぱい感じる元気な声で教えてくれました。今一番好きな遊びがドッヂボールなんだそうです。ママの美味しいご飯をたっくさん食べて、ドッヂボールを楽しんでね!はるとくん、おいしいミートソースを教えてくれてありがとう!
『はるとくんのミートソース』の作り方
お肉がごろっと入ったミートソース。噛み締めるほどお肉の旨味を感じますが、ひき肉よりも油っぽさがでなくてさっぱりしています。ご飯に乗せて、チーズをかけてオーブンで焼き、半熟卵を乗せて食べるのもおすすめ。と教えてもらいました!こちらもとってもおいしかったので、たくさん作っていろんな食べ方を試してみてくださいね。
【 材料 】2~3食分
・ステーキ用牛肉 250g 1枚
・玉ねぎ 1/2個
・にんにく 2片
・カットトマト缶 400g(1缶)
・コンソメ顆粒 大さじ1
・ウスターソース 大さじ1と1/2
・ケチャップ 大さじ1と1/2
・塩 適量
・胡椒 適量
・油 適量
【 作り方 】
(1) 玉ねぎはみじん切り、ステーキ肉は1cm角に切る。
(2) にんにくは、1片はみじんぎり、もう1片はすりおろしておく。またはチューブ(適量)でも。
(3) フライパンに少量の油を熱し、玉ねぎとみじんぎりのにんにくを炒める。玉ねぎが透き通った色になり、火が通ったら一度取り出す。
(4) 肉を焼く。焼き目がついて、8割方火が通ったら③の玉ねぎとにんにくを再び入れる。
(5) トマト缶、コンソメ、ウスターソース、ケチャップを入れ、時々混ぜながら煮込む。
(6) 塩、胡椒、すりおろしたにんにくを入れて味を整え、好みのとろみになるまで煮込んだら完成。
(7) 茹でたスパゲッティーに乗せたり、ご飯の上に乗せてチーズをかけて焼いて、半熟卵をのせてドリアを作るのもおすすめです。
『はるとくんのミートソース』を書き終えて
やはり見た目の美しさや、食材の持つ力とか目新しい料理とかではなく食べ手に対する愛をもっているかどうか。そういう目に見えないものが、人の心を満たすためにはいちばん大切です。
作り手の見栄のない料理は美しい。名もなき料理を取材し始めた、当初の頃の気持ちを思い出しました。
次回は『あおくんのテストの唐揚げ』をご紹介します
この記事を書いた人
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鎌倉市在住の料理人です。『もりえり。』と呼ばれています。
数店舗の日本料理店で調理を学びましたが幼少期より母親に教えてもらった愛のある料理が学びの基盤です。
苦手なことは、言葉で想いを伝えること。
得意なことは、料理で想いを伝えること。
趣味は料理以外にフットサル、釣り、スケボー、寝ることです。
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