災害時のお金にまつわる悩みのために準備しておくべきこと


災害が発生したときに忘れてはいけないのが、お金の問題。災害時はお金の引き出しにもひと苦労したり、お金の支払いができなくなるおそれがあります。自宅が倒壊したり、保険証を紛失した場合、どのような対処法をとるべきなのでしょう。書籍『被災したあなたを助けるお金とくらしの話 <増補版>』(岡本正著、弘文堂)を参考に、災害発生時に知っておきたいお金の知識を解説します。

災害時はお金の心配がたくさん!どんな備えが必要?

災害を想定して備えておかなくてはいけないのは、食料の備蓄食料や防災アイテムの準備だけではありません。お金や財産をいかにして守るかという視点も必要です。

災害が起きてからなんとかしようとしても、非常時は電気が使えなかったりインターネットがつながらなかったりすることがあり、どんな手続きが必要なのかスマホやパソコンではスムーズに調べられないこともあります。

もしものときに役立つ知識は、あらかじめ予習して頭に入れておくのが安心。自分の住む自治体では、役所の何課が非常時の対応をしているのか、近隣にはどんな病院があるのかをチェックしておきましょう。困ったときに相談できる弁護士事務所も見当をつけておくとさらに安心です。

災害で自宅が倒壊!罹災証明書は何に役立つの?

まず理解しておきたいのが、自宅が被災した場合の対処法です。災害によって自宅の建物が被害を受けた場合、被災者生活支援金などの公的支援を受けることができます。こうした場合、お住まいの自治体に罹災証明書の交付を請求しましょう。

罹災証明書とは、自然災害によって家屋の倒壊などが発生したときに、災害対策法に基づいて自治体が発行する書類です。家財道具、自動車などに被害が生じた際に発行される、罹災届出証明書という書類もあります。

罹災証明書または罹災届出証明書は、災害時の各種支援制度や保険金の手続きに必要となることがあります。ただし注意したいのは、罹災証明書の発行には調査が必要で、時間がかかるということ。特に住宅の被害調査で認定が下りるかどうかは、その後の生活の立て直しやQOLに深く関わってきます。

罹災証明書を発行してもらうためにも、自宅が被害に遭ったときは写真撮影をしておくのが安心です。

「住宅を撤去・解体したり、修繕や片付けをしたりする前の段階で、被災状況の写真を撮影しておきましょう」

(『被災したあなたを助けるお金とくらしの話 <増補版>』より引用)

被害にあった建物について写真を撮影しておくことで、申請がスムーズに進みやすくなります。なお、写真は被害にあった建物の全景、被害箇所など複数枚を撮影する必要があることに要注意。災害後は建物がダメージを受けていますので、くれぐれも安全管理を徹底してください。

避難生活中に病気に!保険証がなくても受診できる?

被災後は生活資金や被害を受けた住居の修繕費など、お金がかかってしまいますよね。できるだけお金を節約するために、ちょっとした体調不良を我慢する人もいるかもしれません。被災した際に保険証を紛失した場合、再発行に時間がかかってしまうということもあり得ます。

ただし、避難生活中や災害後の体調不良を甘く見てはいけません。極限状況では本人の想像以上に心身に疲労やストレスが溜まりがち。一次災害(最初に発生する災害)で怪我を負ったものの、十分な治療を受けられないまま過ごしてしまう人もいます。体調不良や違和感を放っておくと、重大な疾患にもつながりかねません。

実は、災害時には保険証が手元になくても医療機関を受診でき、自己負担分だけの金銭的負担で済むケースもあるのです。

「大災害時には、病院などの窓口で保険証を提示できなくても、氏名・住所・生年月日を告げることによって、保険証を提示したときと同様に、自己負担分だけで医療や福祉のサービスを受けることができます」

(『被災したあなたを助けるお金とくらしの話 <増補版>』より)

怪我の放置は破傷風の危険性がありますし、避難所生活や車中泊では血栓症のリスクが高まると考えられています。どちらも命に関わるおそれがありますので、医療機関での治療が必要です。保険証がなかったとしても、災害時は受診をためらわずに治療を受けてくださいね。

災害にあったときこそ、お金の準備が大切。今回紹介した対処法のほか、緊急時のスマホの通信費や水道料金などの支払いについてもしっかりと確認しておきましょう。

〈書籍情報〉
被災したあなたを助けるお金とくらしの話 <増補版>』(岡本正著、弘文堂)

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にちにち編集部
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