あおくんのテストのからあげ
【料理人・守永江里の名もなき料理】


料理名がつけられておらず、ごく普通に家庭の食卓に並ぶ『名もなき料理』を研究しているのが、山口県出身の料理人・守永江里さん。今回は「あおくんのテストのからあげ」をご紹介。

非日常にはいつもの食材が手元にない。そんな時に、ありもののなかでどう料理するか。思考を柔らかくする料理記事です。

[名もなき料理とは]

 

あおくんのテストのからあげ

小学4年生のあおくんは、ママの作る鶏の唐揚げが大好きです。ご飯が進む味付けで、いつもの晩ごはんの時よりも、もりもり食べます。そこで、あおくんは考えました。

漢字テストで95点以上とった時は、唐揚げを作ってもらおう。そうしたらテストも頑張れるし、唐揚げもたくさんたべられるかもしれない!と。実施しているうちに、漢字がさらに得意になり、テストの点が良いだけではなくて、綺麗で丁寧な文字になりました。

1年生の弟くんもママの作る唐揚げが大好き。そっとお兄ちゃんを応援しています。お兄ちゃんの頑張りのおかげで、唐揚げの日になると「やったー!」と言っちゃいます。

あおくんのママは、週に5日働くワーキングママ。お仕事が終わり、習い事のお迎えをして、そこから晩御飯の支度。少しでも早くみんなにご飯を食べさせてあげるための工夫をいつも考え、唐揚げの時は、揚げ時間を短くするため小さく仕込みます。

その一口サイズが食べやすくて、あおくんは大好き。お友達のお家でご飯を食べたとき、いつも家で見る唐揚げの3倍はあるであろう大きさに驚いたといいます。

いつも分け合いっこをする2人兄弟。数が限られているものがあると「一人何個食べていい?」とママに確認します。だから、一つ一つを小さくして、数をたくさん作って、数を気にせずに食べられるようにという思いやりもあるのです。

鶏の唐揚げは、たいていのお店で食べることができます。居酒屋で最もメジャーな料理とも言えるでしょう。でも、“ じぶんのための鶏の唐揚げ ” はどこのお店を探してもみつかりません。おうちだけで食べられる、特別な料理です。“ あおくんのための唐揚げ ” をたくさん食べて、これからも漢字テストがんばってね、あおくん!

 

『あおくんのテストのからあげ』の作り方

【 材料 】
・鶏肉(もも または むね)
・醤油
・酒

・生姜
・にんにく
・片栗粉
・揚げ油

【 作り方 】
(1) 鶏肉は一口サイズに切る。しょうがとにんにくはすりおろす。(チューブでも可)
(2) 全ての材料を合わせ、鶏肉に味をつける。(お好みのスパイスを一緒に漬け込んでもおいしいそうですよ)
漬け込む時間は、30分~1時間くらい(お風呂に入るくらいの時間)
(3) ②に片栗粉をつけ、熱した油でカラッと上げたら完成。

『あおくんのテストの唐揚げ』を作り終えて

あおくんの好きなことは、ベランダのお花のお手入れ。山へ行って、野草をみつけて鉢に植え、雑草を抜いたりお水をやったり、時には鉢替えをしたりと抜かりなくお世話をして大切に育てています。そんなあおくんの優しい気持ちを見つけて大切に育ててあげるママさんの視線もとても温かくて、こちらまで穏やかな気持ちになる取材でした。

 

次回は『まいさんのキーマカレー』をご紹介します

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この記事を書いた人

もりえり。
もりえり。料理人
鎌倉市在住の料理人です。『もりえり。』と呼ばれています。
数店舗の日本料理店で調理を学びましたが幼少期より母親に教えてもらった愛のある料理が学びの基盤です。

苦手なことは、言葉で想いを伝えること。
得意なことは、料理で想いを伝えること。

趣味は料理以外にフットサル、釣り、スケボー、寝ることです。