近年は豪雨による自然災害が猛威を振るっています。西日本を襲った「平成30年7月豪雨」「令和2年7月豪雨」は、線状降水帯の影響が大きい災害とも考えられていますが、線状降水帯とはどんな気象現象かご存じでしょうか? この記事では、『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎、KADOKAWA)を参考に、豪雨の影響について役立つ知識を紹介します。
雨の重さは力士と同じ!?
地震や台風への備えを用意している人は多いものですよね。地震速報や台風予報をチェックし、もしものときはどう避難すればいいかシミュレーションしている人もいるでしょう。ところが「豪雨に対する防災はあまり考えていない」という人は多いのでは?
雨は身近なものですので、災害を引き起こすというイメージが湧きづらいかもしれません。気象ニュースでは降水量について触れられることがありますが、雨量が私たちの生活にどのくらいのインパクトを与えるのかイメージがうまくできないことはありませんか?
気象学者の荒木健太郎さんの著書『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』は、子どもでも楽しく気象について学ぶことができる書籍。雨が持つパワーについて、こんな風に面白いたとえをしています。
「1時間に100mmの雨は、1時間に一度、1m四方あたりにひとりの小柄な力士が落ちてくるのと同じ重さなのです。しかも豪雨のときは、数十kmにわたって同じように猛烈な雨が降るので、空一面が小柄な力士におおわれているということに……!」(『すごすぎる天気の図鑑』より)
あくまでこれは雨の重さのたとえですが、雨が崖を崩したり洪水を引き起こすほどのパワーを持っていることがイメージしやすくなりますよね。豪雨は土砂災害や洪水、建物への浸水や道路の冠水など、さまざまな災害を引き起こすものなのです。特に「線状降水帯」には要注意。
「線状にのびた雨域や雨雲のまとまりのことを線状降水帯といいます。積乱雲が動く方向の後ろ側で新たな積乱雲が次々に発生することから、線状降水帯ができるしくみは「積乱雲のバックビルディング」と呼ばれています」(『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』より)
積乱雲がひとつ発生しただけでも、集中豪雨が起きることがありますよね。線状降水帯では積乱雲が次々と発生するため、短時間で大量の降雨に襲われるリスクが上がり、土砂災害や洪水を引き起こすというわけです。
線状降水帯の予測は難しい
気象庁は2022年6月1日から、線状降水帯による大雨の可能性を予測。地方予報区を対象にして、半日程度前からの情報提供を開始しました。ただし、天気の変化を正確に予想するのは簡単ではありません。線状降水帯の予測は難しいというのが現状です。気象情報をしっかりとキャッチしつつ、豪雨被害に対する備えをしておくのが安心といえます。
たとえば地域の土砂災害ハザードマップを参考に、自宅や勤務地が大雨の状況下において早急な避難が必須かどうか確認しておきましょう。速やかに避難するためには、日頃から防災リュックや備蓄食料の備えをしておくことが大切。日常と非日常(災害時)の境界線をなくす「フェーズフリー」を実践すると、災害時も適切な行動を取りやすくなりますよ。
「雨なんてすぐに止むだろう」「豪雨だけど家にいれば安全に決まってる」と思っていた人も、あらためて洪水ハザードマップや地域の避難所の場所を確認し、雨による災害に備えてみてくださいね。
『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』は、続刊『もっとすごすぎる天気の図鑑 空のふしぎがすべてわかる!』(荒木健太郎、KADOKAWA)も発売中。
本シリーズは雨のほか、台風や大雪など気象についての基礎知識や素朴な疑問を楽しく学ぶことができる書籍です。お子さんと一緒に読めば、気象に関する知識はもちろん、家族の防災意識もアップしそうですよ。
【書籍情報】
『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎、KADOKAWA)
『もっとすごすぎる天気の図鑑 空のふしぎがすべてわかる!』(荒木健太郎、KADOKAWA)
この記事を書いた人
- 「にちにち」には、「日常より非日常、非日常より日常」という想いが込められており、日常も非日常も、暮らしが豊かになるようなアイデアを提案させてください。
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