料理名がつけられておらず、ごく普通に家庭の食卓に並ぶ『名もなき料理』を研究しているのが、山口県出身の料理人・守永江里さん。今回は「細田家の野菜餃子」をご紹介。
非日常にはいつもの食材が手元にない。そんな時に、ありもののなかでどう料理するか。思考を柔らかくする料理記事です。
[名もなき料理とは]
農業を営んでおられる細田家のごはんは、いつも野菜たっぷり。とある日の餃子には、トマトのペーストを練り込んだ皮に、茄子をたっぷり加えたあんを包みました。
料理担当は奥様のひとみさん。2歳の息子さんと一緒に作られる日もあります。息子さんと料理をする際には、安全面をまず第一に考え、その次に興味がありそうなことからさせてあげるそうです。そして料理をしながら、「どんな感じがする?」とか「こうするとどうなるかな?」と話しながら、息子さんが自ら感じ、考えながら手を動かせるように工夫されています。
[うどん作りをお手伝いする陽豊くん]
ひとみさんの声かけのように、自分なりに考え、五感を使って料理をすることは、子供だけではなく私たち大人にも大事なことだと思います。
レシピをじっと見つめて、“こなす調理”をしていると、気づけないことがたくさんあります。目で見えるものだけではなく、調理中に変わっていく音、匂い、触感などの小さな変化を感じながら料理をすることで、表現が豊かになり、美味しさに繋がるのです。レシピの工程を参考にして作るのは良いけれど、こうしなければいけない、という思い込みは取り払い、目の前の食材とまっすぐ向き合うことはとても大切。このコラム『名もなき料理』では、レシピを見て作ることに一生懸命になるのではなく、五感を使いながら作るお手伝いができればと思い、書かせていただいています。
誰かの思いがこもった料理を知ることが導入になり、それが作るきっかけになる。レシピ本を見て作る感覚ではなく、小説に出てくる料理を作っている感覚になっていただけたらいいなぁと思っております。
「どんな感じがする?」とか「こうするとどうなるかな?」自分自身に声かけをしながら、今日も台所に立つ時間を楽しみたいです。
いつもの餃子に茄子を加えてみてください。ジューシーでとっても美味しいですよ。
【 材料 】
・豚ひき肉 150g
・茄子 1本(150~170gくらい)
・長ネギ 20cmくらい
・にんにく 1片
・生姜 1かけ
・塩 小さじ1/2
・胡椒 少々
・醤油 大さじ1
・酒 小さじ1
・砂糖 小さじ1
・ごま油 小さじ1
・片栗粉 小さじ1
・餃子の皮 25枚
・油
・水
【 作り方 】
タネを作る
(1) 茄子は7mm角くらいに切り、ボウルに入れて塩(分量外)をもみ込んでおく。
(2) 長ネギはみじん切り、にんにくと生姜はすりおろしておく。
(3) 別のボウルに豚肉を入れ、調味料と②を入れ、よく混ぜる。
(4) ①の茄子は水で余分な塩を洗い流し、よく絞って水気をとる。③に入れて混ぜる。
包む
(5) ④を25等分し、餃子の皮で包んでいく。
焼く
(6)フライパンに油を熱し、餃子を並べていく。焼き目がついたら、餃子が3分の1浸るくらいの水を入れ、蓋をして蒸し焼きにする。
(7)5分くらい経って、餃子に火が通ったら(肉が固くなっていて皮が透き通った色をしていたら)蓋を外してフライパンに残った水分を飛ばす。鍋肌から少量の油を垂らし、仕上げにカリッと焼いたら完成。
野菜の切り口のみずみずしい断面を見た時。煮物を作っている時の、コトコト鳴る音を聞いた時。お肉を焼いた時の色の変化を見た時。クッキーを焼くと部屋に充満する甘い香りをかいだ時。
調理をしていると、ときめく瞬間が何度もあります。目の前の変化に夢中になって楽しむことが、私の気分転換の仕方です。
次回は『さわが好きなお弁当の卵のやつ』をご紹介します
この記事を書いた人
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鎌倉市在住の料理人です。『もりえり。』と呼ばれています。
数店舗の日本料理店で調理を学びましたが幼少期より母親に教えてもらった愛のある料理が学びの基盤です。
苦手なことは、言葉で想いを伝えること。
得意なことは、料理で想いを伝えること。
趣味は料理以外にフットサル、釣り、スケボー、寝ることです。
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