関西生まれの編集者。ヨガやボディワーク、旅の本などに携わり、旅とヨガは似ているなと思う今日この頃。旅や転居、災害など日常と非日常の狭間で、自分を取り巻く〈内〉と〈外〉の環境を心地よくするアイテムを紹介する。今回はシンガポール発の薬用万能オイルです。
シンガポールでの知名度抜群な家庭用万能薬
ひょんなことから、鍼灸師と常備薬の話をしました。
その鍼灸師は、この道25年のベテランで生粋のシンガポリアン。シンガポールといえば、日本でもお馴染みの万能薬「タイガーバーム」発祥の地なので、てっきり勇ましい「トラ印」が出てくると思っていたら、先生の机にあったのは「鎌を振り上げるマーク」の小瓶でした。
「AXE BRAND(アックスブランド)」の「ユニバーサルオイル」です。
中国からシンガポールに渡ってきた華人により創業された90年以上の歴史ある会社の、ヘリテージブランドです。大抵のコンビニやドラッグストアに置いてあります。
普段よく行く薬局にもありました。これまでノーマークだったので、例の“トラ印”のある棚にまで目がいきませんでした。サイズ展開がいくつかあって、一番小さいものでSGD1(約100円)ほど。さすが国内ブランド! 家計に優しい価格設定も90年以上庶民に愛されている理由の一つでしょう。公式サイトによると、「患部に1~2滴塗ってマッサージするだけで、鼻詰まり、くしゃみ、虫刺され、筋肉痛、頭痛、胃痛などの緩和が期待できる」とあります。
先生曰く、「何にでもいいよ(笑)」。
そもそも私が鍼灸院に通い始めたきっかけは、乾季にスコールが多いシンガポールで、雨が降り出しそうな時、雨が降った後の頭痛をどうにかするためでした。そんなこんなで、「このオイルをこめかみに塗ると気分がよくなるかもしれないよ」と紹介してもらったのです。
蓋を開けると、“お久しぶり”な香りでした。
成分は、メントール結晶、ユーカリ油、サリチル酸メチル、精油、カンフル。日本でいう「ハッカ油」的なもののようです。ノスタルジーを掻き立てられたのはカンフルのせい?
先人の知恵を現代的に解釈してみる
「むやみに薬を使わない」
鍼灸の先生らしい健康術を教わっていたら、ふと『養生訓』を思い出しました。
『養生訓』は、江戸時代に福岡藩の藩医にもなった儒学者・貝原益軒が晩年に書いた健康指南書です。あらためて読み返すと、現代とはライフスタイルなどの条件が異なるので記されている養生術のすべてに共感するわけではありませんが、通ずることの多さに驚きました。
目に留まったのが「足湯」。
貝原益軒は、体が弱い妻のために毎晩足湯を用意し、妻の免役を高めて病を予防していたそうです。バスタブのない住環境で入浴を諦めていた今の私にとって、目から鱗でした。読み返してよかった。やはり、意識してはじめてほしいものは見えてくるのですね。
ここは常夏の国。ならば、「ユニバーサルオイル」を入れた足湯が合いそうです。そろそろ日本は秋。長雨でじめじめとした暑さ寒さが体に堪えた時にもよさそうです。
人の〈外の世界〉がどれだけ変わっても、人の〈内の世界〉は案外変わっていないのかもしれません。貝原益軒が生涯をかけて集めた知恵を知らない手はありませんよね。面白い“気づき”があるかもしれません。
意識が変われば行動が変わります。
「AXE BRAND」(英語サイト)
この記事を書いた人
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編集者。
(株)角川クロスメディアに勤務。その後、都内の編集プロダクションにてヨガやボディーワーク、旅の本などに携わる。関西生まれ、シンガポール在住の猫飼い。
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