料理名がつけられておらず、ごく普通に家庭の食卓に並ぶ『名もなき料理』を研究しているのが、山口県出身の料理人・守永江里さん。今回は「まゆちゃんちのきゅうりとささみのやつ」をご紹介。
非日常にはいつもの食材が手元にない。そんな時に、ありもののなかでどう料理するか。思考を柔らかくする料理記事です。
[名もなき料理とは]
山形に住むお友達のまゆちゃんは、結婚して実家を離れて暮らしています。昼間の暑さが残るようになった夏本番の夜、ふと頭に浮かんできた料理があるそうです。そういえばよくあれ、実家にいた頃はよく食べてたなぁ、また食べたいなぁ……と。
それは物心ついた時から食べていたきゅうりとささみを和えた一品。お母さんやおばあちゃんが作ってくれるものです。にんにくとごま油の香りがして、少し酸味のある味付けが病みつきに。箸が止まらなくなると言います。家族が多いため、大皿にどんと盛り付けられるのだそうです。同じ味付けで、たまにきゅうりだけの時があったり、インゲンを和えてあったり、その日の収穫できた野菜によって変わっていきます。まゆちゃんにとって、これが夏の味。
食べたいなぁと頭の片隅にふと浮かんできたけれど、人に話すほどでもなく。無性に食べたい、というよりは、思い出した時点で既に気持ちが満たされる。お母さんやおばあちゃんがいつも味方でいてくれたことに今頃気付かされるような。家族が作ってくれる名もなき料理にはそんな力がある気がします。
きゅうりの天地や、にんにくの軸を切り落とす時はキッチンバサミで。まな板や包丁がなくても作れるのが嬉しいです。他のおかずを作っている間に冷蔵庫で寝かせておいて味を馴染ませ、冷やしてからいただきます。
【 材料 】
・ささみ 3本
・きゅうり 3本
・にんにく 2片
・濃口醤油 または 出汁醤油 大さじ2
・酢 大さじ2
・ごま油 大さじ2
【 作り方 】
(1) 鍋にお湯を沸かし、ささみを茹でる。7、8分くらいしっかり火を通したらザルにあげて粗熱をとる。
(2) きゅうりは叩いて、食べやすい大きさにする。にんにくはすりおろす。
(3) ボウルに、①のささみを手で割いて入れ、②のきゅうりとにんにくも入れる。全ての調味料を和えて冷蔵庫で30分~1時間寝かせたら完成。
きゅうり作りは、たまたまうまくいく年もあれば、全然美味しく成らない年もあります。コツがあったら教えてください……!
今年はこのきゅうりとささみの一品を自家製のきゅうりで作ることを目標に頑張りたいです。
次回は『それぞれのデコポンのサラダ』をご紹介します
この記事を書いた人
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鎌倉市在住の料理人です。『もりえり。』と呼ばれています。
数店舗の日本料理店で調理を学びましたが幼少期より母親に教えてもらった愛のある料理が学びの基盤です。
苦手なことは、言葉で想いを伝えること。
得意なことは、料理で想いを伝えること。
趣味は料理以外にフットサル、釣り、スケボー、寝ることです。
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