ぶんちゃんちのピーマンの肉詰め
【料理人・守永江里の名もなき料理】


料理名がつけられておらず、ごく普通に家庭の食卓に並ぶ『名もなき料理』を研究しているのが、山口県出身の料理人・守永江里さん。今回は「ぶんちゃんちのピーマンの肉詰め」をご紹介。

非日常にはいつもの食材が手元にない。そんな時に、ありもののなかでどう料理するか。思考を柔らかくする料理記事です。

[名もなき料理とは]

 

小学5年生のぶんちゃんから、お母さんによくリクエストしているお料理について教えてもらいました。それは、ピーマンの肉詰めでした。

手間がかかりそうで、味決めも難しそうなピーマンの肉詰めですが、ぶんちゃんのお母さん、かなこさんが使う調味料はなんとケチャップとオイスターソースだけ!食べさせていただくと、お肉がふんわりと柔らかくて、ピーマンがしっとりとお肉に密着していて、コクのある味がよくしみていて。全体がぷるっとした食感なのが印象的でした。

これは美味しい!もう何個でも食べられちゃう!とびっくりしました。ぶんちゃんが大好きなのも納得です^^。こんなにおいしいものを教えてくれてありがとう!

取材に伺ったこの日は、他にもかなこさんの手料理をご馳走になりました。「我が家の普通~のすっぴん料理だよ」と言いながらかなこさんが作ってくださったのは、地元青森の香り高いかつマイルドなニンニクを贅沢に使ったナムル、大ぶりホタテと水菜のバター炒めなどなど。どれも素材の味を引き出すシンプルな味付けでとっても美味しかったです。

かなこさんはご自身のお料理を飾り気のないものとしてすっぴん料理と言われました。私は10代の頃、自分のコンプレックスをうまく受け止められないということと、流行っていたということもあって濃いメイクを毎日何十分もかけてしていました。ある時、海外にバックパックで出かけたことをきっかけに、すっぴんで旅をするようになり、その自分の顔に見慣れて肩の荷が降りた時の感覚を思い出しました。

初めは抵抗があって、濃いメイクをやめた顔を周りに受け入れてもらえるか不安もありましたが、すっぴんになれると本当の表情が人に伝わっていった気がしてコミュニケーションが取りやすくなったような気がします。料理も一緒だなぁと思いました。

このかなこさんのお料理をいただいているときは、食べている側も肩の荷が降りて、本当の自分になれるような感覚があったのです。日々の食事、どんなお化粧をしているものを作っているか、食べているかで、人の性格まで変わっていくのかもしれませんね。

玉ねぎはレンジで温めて炒める時間を短縮します。成形したら煮込む時間は7、8分くらい。手間がかかっているように見えて実は時短料理です^^。つるつるとした食感のぶんちゃんちのピーマン肉詰め。お箸が止まらなくなるのでたくさん作ることをお勧めします。

【 材料 】

・ピーマン  6、7個
・牛豚合挽き肉  300g
・玉ねぎ  大1/2個(130gくらい)
・卵  1個

・片栗粉  大さじ1と1/2
・塩  小さじ1/3
・胡椒  適量

・パン粉  大さじ3
・牛乳  大さじ2   パン粉と牛乳は合わせておき、ふやかしておく。

・ケチャップ  大さじ3
・オイスターソース 大さじ1
・水 100ml

・油  適量

 

【 作り方 】

(1) 玉ねぎの下ごしらえをする。みじん切りにし、耐熱皿に入れてラップをかけて、電子レンジで2分加熱する。
フライパンに少量の油を敷いて、温めた玉ねぎをさらに炒める。きつね色がついたらバットに移して粗熱をとっておく。

(2)ピーマンは縦半分に切り、タネとヘタの硬い部分をとっておく。ビニール袋に片栗粉とピーマンを入れてふるい、全体に片栗粉をまぶす。

(3) 肉ダネを作る。ボウルに合挽き肉、塩、胡椒、パン粉、牛乳を入れてよくこねる。
(4) 粘りが出たら卵、玉ねぎを入れてさらによくこねる。
(5) ピーマンに肉ダネを詰めていく。焼くと肉ダネが縮むので、空気を抜きながらぎゅっと押し付けるようにしてしっかり詰める。
(6) フライパンに油を少量熱し、肉の面を下にして⑤を置いていく。
(7) こんがりと焼き色がついたら、水をピーマンの1/3の高さまで入れ、ケチャップとオイスターソースを入れて蓋をする。中火で7,8分加熱する。
(8) 火が通ったら、蓋をあけ、ソースを手早く絡ませながら水分を飛ばす。
(9) お皿に盛って、お好みでケチャップをつけていただく。

 

 

コロナ禍に入ってから、人に会う機会もなく、おしゃれをするような機会もめっきり減りました。それだとちょっと物足りなさを感じてしまいます。同じように、たまにおめかしした料理を作りたくもなります。日常と非日常の切り替えを楽しんで料理をしていきたいです。

次回は『矢野家のかぼちゃの天ぷら』をご紹介します

 

この記事を書いた人

もりえり。
もりえり。料理人
鎌倉市在住の料理人です。『もりえり。』と呼ばれています。
数店舗の日本料理店で調理を学びましたが幼少期より母親に教えてもらった愛のある料理が学びの基盤です。

苦手なことは、言葉で想いを伝えること。
得意なことは、料理で想いを伝えること。

趣味は料理以外にフットサル、釣り、スケボー、寝ることです。