料理名がつけられておらず、ごく普通に家庭の食卓に並ぶ『名もなき料理』を研究しているのが、山口県出身の料理人・守永江里さん。今回は「福永家のミートパイ」をご紹介。
非日常にはいつもの食材が手元にない。そんな時に、ありもののなかでどう料理するか。思考を柔らかくする料理記事です。
[名もなき料理とは]
中学生の頃、同級生の福永さんが「お兄ちゃんは白いご飯が苦手だから、いつも白玉団子を主食にしている」と言っていました。当時からなぜか作り手目線だった私は、「毎晩手間をかけて、白玉団子を作られるお母さんすごい!」と感じた記憶があります。
今、15年以上経って福永さんと当時の話をした際に、「ミートパイが食卓に出てくると、何でもない日でも特別な感じがして嬉しかったなぁ」と思い出の料理をまた一つ、教えてもらいました。お母さんは、子供達の健康を思いやりつつ、献立は “ 自分が食べたいもの ” で決めていたそうです。作る人が食べたい!と思うものは、美味しく作ることができる気がします。私がお店をしていた頃、メニューを週がわりにしていた理由の一つです。
家庭でも、家族としっかりコミュニケーションをとって、みんなの好きなものを把握しつつ、“ 今日はこれが食べたい ” という直感で献立を決めていくようにしたいです。実際に、そんなお母さんの手料理を食べて育った福永さんが、実家を離れて10年のブランクがあっても、当時の料理を思い出すことができ、食べていた時の気持ちさえ覚えています。それはきっと、美味しい手料理で、栄養が取れて力になっていただけではなく、心の栄養も十分に取れていたということでしょう。
サクサクのパイとナツメグ香るケチャップ味のお肉。食べ出すと止まらない味です! お子様のおやつや、大人のおつまみにも♪
【 材料 】
・冷凍パイシート 2枚
・牛豚合挽き肉 130g
・玉ねぎ 1/4個 60~80gくらい
・ケチャップ 大さじ2
・パン粉 大さじ1と1/2
・卵1個
・塩 小さじ1/3
・胡椒 適量
・ナツメグ 適量
【 作り方 】
(1) パイシートを常温に出しておく。
(2) 玉ねぎをみじん切りにして、フライパンで炒める。火が通って透き通った色になったら、粗熱を取る。
(3) 卵を溶いて、3/1ほど別の容器に移しておく。仕上げのつや出しに使う。
(4) ボウルに肉、玉ねぎ、ケチャップ、パン粉、卵、塩、胡椒、ナツメグを入れよく混ぜる。
(5) パイシートを綿棒で1mm厚さくらいに伸ばしておく。
(6) パイシートに肉ダネを乗せて、手前からくるくると巻いていく。
(7) 冷凍庫に30分以上入れて寝かす。
(8) オーブンを200度に予熱しておく。
(9) 冷凍庫から生地を取り出し3cm幅くらいに切る。オーブンシートを敷いた天板に並べ、取っておいた溶き卵を塗る。
(10) 200度のオーブンで25分くらい焼いたら完成。
何でもない日でも少しだけ特別な気持ちにしてあげられる。手料理にはそんな力があります。いいことばかりではなかった一日も家に帰ってきてご飯を食べている間だけいろんなことを忘れられる。そういう時間を作る仕事をしていきたいです。
次回は『伊織さんのトマトに蜂蜜かけたん』をご紹介します
この記事を書いた人
-
鎌倉市在住の料理人です。『もりえり。』と呼ばれています。
数店舗の日本料理店で調理を学びましたが幼少期より母親に教えてもらった愛のある料理が学びの基盤です。
苦手なことは、言葉で想いを伝えること。
得意なことは、料理で想いを伝えること。
趣味は料理以外にフットサル、釣り、スケボー、寝ることです。
最新の投稿
- food2023-01-10まいさんのキーマカレー
【料理人・守永江里の名もなき料理】 - food2022-12-09あおくんのテストのからあげ
【料理人・守永江里の名もなき料理】 - food2022-11-02はるとくんのミートソース
【料理人・守永江里の名もなき料理】 - food2022-10-24伊織さんのまぐろっけ
【料理人・守永江里の名もなき料理】