避難生活で互いに思いやる行動
【現役客室乗務員の行動指針】


「おもてなし」「心配り」「マナー」を日々、学んでいるという現役客室乗務員のRさん。客室乗務員のお仕事には、「航空保安員」としての役割もあります。緊急時には乗客の無事を優先し、命を預かる立場となるのです。そういった訓練を経てきたRさんが、非日常的な状況の中で、どのように思考し、行動すべきかを教えてくれました。


昨年度、人気だったドラマの一つに『日本沈没というー希望のひとー』がありました。日本SF界を代表する作家・小松左京の代表作『日本沈没』をテレビドラマ化したものであり、関東圏が半年以内に沈没してしまうというインパクトのある題材をテーマとしています。

震災が多い日本に住んでいるひとりとして、いつか自然災害が怒った際に自分や家族、周りの人はどう行動するだろうか、どのような準備が必要なのだろうかと考えるきっかけになっていると言う人は多いのではないでしょうか。

不特定多数の人々と長期間共同で避難生活をするとなれば、時間の経過ともに心身共に疲弊したり、自分だけは助かりたい、有事なんだからこれくらいの横行はまかり通るのではないか、と考えてくる人がいることも想定できます。

現に2010年1月にハイチで発生したの大地震の際には倒壊した店舗、公的施設、壊れた住宅からあらゆるものを略奪する行為が横行していました。また、2005年8月にハリケーン カトリーナがアメリカ南東部地方を襲った際にも市内の食料品店などで略奪行為が続発した他、放火と見られる火災も起きた。市内では他にも救援車両・医薬品輸送車への狙撃なども行われ、市内は無法地帯と化しました。

では日本ではどうだったでしょうか。

地域やコミュニティの人々と一丸となってバケツリレーなどの予行演習を行なってきたり、怪我人への簡易手当ての講習を開き、地域で助け合いをしていこうという自治体も少なくないです。実際、1995年に起きた阪神・淡路大震災では、一番多くの人命を救助したのは地域の住民による共助でした。

また義務教育期間を通し、防犯や災害時の訓練を行なっており「有事の際の行動」が身についているため、普段から自然災害はいつか起こり得ることではないかという認識や、災害が発生した場合に備えた物品の備蓄を行っている家庭も多いのではないでしょうか。

では今後避難生活を強いられた場合、少しでも集団生活からのストレスを軽減するためにはどのような心構えが必要でしょうか。

・ゆずり合う
避難所は限られたスペースで過ごすことになります。けが人や小さな子ども連れ、体の不自由な方などには場所や順番待ちの列などゆずり合いが必要とされるシーンが少なくないかもしれません。困った際はお互い様だと思い、より必要としている人への配慮を忘れないように。

・綺麗に使う
全員が使用する共有スペースや、特に使用需要の高いトイレは全員が衛生面を考えて「綺麗に使おう」という意識を持つ必要があります。使用するトイレが汚いと使用を躊躇して体調を崩してしまう人がいるかもしれません。また排泄物を放置すると集団で感染症を引き起こす可能性もあります。後の人が使用することも考え、なるべく綺麗な状態をキープできるよう配慮しましょう。

・決められたルールを守る、思いやる
個人、家庭でそれぞれ消灯時間や食事の時間など異なってきたかと思います。しかし集団生活では一律に時間が管理されることなりますので、消灯時間以降は静かに過ごす、明かりを最小限に止める、プライバシーを尊重するなどし共同生活の和を乱さないように配慮した行動を送るようにいたしましょう。

普段と違う環境や生活を強いられるなか、自身や家族を優先したい気持ちは誰しも持っているはずです。それでも互いに敬意を持って接すること、普段通りのマナーに意識を向けることで少しでもストレスを減らして互いに生活していけるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

R
R
接遇業とUXデザイナーの二足のわらじを履いてます。
ユーザーへの共感を大切にし、寄り添った課題解決を心がけており、デザイン思考を接遇業へ活かせないか、試行錯誤中。
おもてなしや心配り、マナーについても日々勉強しています。