子育て家庭の備蓄の少なさに危機感。
“日常防災”を根付かせたい。
防災士/ポリCOOK®認定講師・長谷川真弓さん


整理収納アドバイザーの経験から、防災について学びはじめ、ご自身の活動に取り入れてきた長谷川さん。そんな中で立ち上げた暮らしと防災のサロン「lagomlifelabo」や、ポリCOOK®講師としての活動、荒川区民としての防災への取り組みについてお伺いしました。

東京都荒川区で、お二人のお子さんを育ててきた長谷川さん。お子さんが大きくなり、巣立っていった後、ご自宅の片付けに取り組んでいたという。
「子どもが独立する段階になると、暮らし方が変わっていくんですね。それで家を整えることにしたら、部屋だけでなく、心もすっきりして。さあ、何かはじめよう、と新しいチャレンジをしたくなったんです。片付けをすることで、前向きになれる。そんな気持ちの変化を誰かに味わってほしくなったんです」

そこで長谷川さんは、整理収納アドバイザーの資格を取得し、子育て世帯に向けて家の片付けや家事をサポートするサービスをはじめた。2017年からさまざまなご家庭に訪問し、サポートしてきたが、そんな中でよく目にしたのが、物は多いのに防災周りの備えがなかったことだ。
「“お水のストックはないの?”と聞くと、“近くにコンビニやドラッグストアがあるから大丈夫です”とおっしゃられて。それにしても少ないんです。そんなご家庭が1件や2件じゃなかった。もし災害が起こったらマズいな、と思いました」

過去の例からみると、災害後、支援物資が届くまでに3日~1週間、スーパーでは品薄・欠品状態が1週間ほど続くという。最低でも3日分の備蓄は必要だ。例えば水(飲料)なら、大人ひとり当たり1日3ℓ(体重×15ml)3日で9ℓが目安。4人家族なら3日で36ℓ、2ℓのペットボトルが12本いる。これに加えて生活用水も必要になってくる。

長谷川さんは、整理収納アドバイザーとして経験を通して、顧客との防災意識の距離感を危惧し、防災士の資格を取得。
2019年には、暮らしと防災のサロン「lagomlifelabo」を立ち上げた。テーマは災害への備えをいつもの暮らしに取り入れる“日常防災”だ。この“日常防災”を根付かせるため、子育て交流サロンにて「ママのための防災教室」、地域イベントでの防災料理教室、マンション自主防災組織への支援など、さまざまな防災啓発活動を行ってきた。

「うれしいのは、イベントや講座に来てくださった方が“帰ったらすぐやってみます”や“携帯トイレ買いました”とか“忘れるので今年も参加しました”など言ってくださることですね。私の活動がみなさんの行動につながって日常になっていくと、やっていてよかったなと思います」と長谷川さんは笑顔で語る。

さらにアドバイザーに加え、ポリCOOK®という新しい料理を知り、2018年にはその認定講師になった。
「友人の誘いで行った料理教室でポリCOOK®と出会いました。ポリCOOK®とは、ポリ袋を使った料理のことです。簡単に調理できるので普段の暮らしにも使えるし、洗い物がでませんから災害時も役立ちます。防災への関心がなくても、食べることだったら興味を持ってくるれるんじゃないかと思いました」

新型コロナウィルスが流行する前は、南千住の教室を中心にポリ袋料理の教室を開催していたが、現在は月に1回のオンライン講座を担当している。ちなみに最近おすすめのポリCOOKは「シャケのバター醤油」とのこと。

また、長谷川さんは荒川区の防災士グループ「あらかわぼうさいの会」の一員としても活動している。
「荒川区は住宅密集地域や隅田川もあって、地震や水害のリスクが高い地域です。住民として区に貢献したいという思いから、仲間と一緒に防災士の団体を立ち上げました」
会の活動として、Facebookで防災コラムを発信するなど、より身近な防災情報をわかりやすい形で届けている。


「以前、ご自宅を訪問する中で、非常食や防災用品の保管場所がないとの声を聞くことが多かったんですね。また賞味期限など定期的に見直す必要もあります。小さなお子さんがいるご家庭では、家具や落下物で怪我をしないような環境づくりも大切です。今の暮らしの中で、何が優先なのかを一緒に考えつつ、安心・安全な家づくりをめざしたいと思っています。防災を含めた暮らしのことをトータル的にサポートしていきたいですね」今後は、ポリCOOK®講師や「あらかわぼうさいの会」メンバーとして防災力の向上に貢献しながら、コロナ禍が落ち着いたら、防災と整理収納のアドバイザーとして現場へも行きたいという。

備えあれば憂いなし。突然の災害を前に、日々できることから少しずつ備えることが大切なのだと感じた。

長谷川 真弓(はせがわ まゆみ)
神奈川県出身、東京都荒川区在住。2018年、ポリCOOK®認定講師になり、教室やイベントを開催。防災士の資格を取得し、2019年に暮らしと防災のサロン「lagomlifelabo」を立ち上げる。荒川区の減災を目指す防災士クループ「あらかわぼうさいの会」にも所属。趣味は音楽鑑賞。今は長女の勧めで聴いた三浦大知にハマっている。
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この記事を書いた人

しまかもめ
しまかもめフリーライター
(株)大阪宣伝研究所にコピーライターとして勤務。その後、デザイナー、編集者、フリーペーパー営業、ネットショップ企画運営を経て、独立。神戸市在住の3児の母。防災に携わる人々の取材をしています。