災害が起こった時に、環境の変化を受け入れるのは大変なことです。「食べること」はその最たるもので、災害直後にはスーパーに長蛇の列ができて購入に苦戦したという話や、そもそも物流が止まり食品の購入ができなくなってしまった、という話も聞きます。また子どもたちにとっては「いつもと違うご飯」が続くことも大きな環境の変化となります。そこで今回は、非常時でも子どもたちができるだけストレスなく栄養を摂ることができる「子どものための備蓄食品」についてご紹介します。
栄養別に備蓄食品を考える
子どもの年齢ごとに備蓄する食品は異なります。赤ちゃんであれば、液体ミルクや常温保存が可能なベビーフードを用意しておきましょう。赤ちゃんについては月齢事の注意点もありますので、また次回詳しくご紹介しますね。今回は、だいたいは大人と同じものが食べられる幼児以上の子どもたちのための備蓄食品について栄養別に考えてみます。非常時でも摂りたい栄養素は「炭水化物」「タンパク質」「ビタミン・ミネラル・食物繊維」+「おやつ」です。では“備蓄可能×子どもが喜ぶ”備蓄食品にはどんなものがあるでしょうか?
【炭水化物】
炭水化物は「加熱が必要でないもの」と「加熱が必要なもの」の両方を備えておきましょう。
●加熱が必要でないもの
災害直後のライフラインがどのような状況になっているかはわかりません。電気やガスを使わなくてもすぐに食べられるものを用意しておきましょう。
・アルファ米(一度炊いたお米を乾燥させたもの。水を注ぐだけでたべられます)
・シリアル(食物繊維やビタミン、カルシウムなどが含まれているものもあります)
・クラッカー
・レトルトのおかゆ(小さな子どもや高齢の方、アレルギーがある方の主食としても多めに備えておくと安心)
・常温保存可能なトルティーヤ(比較的長期保存ができるので、パンの代用品としておすすめ)
・マッシュポテトフレーク(水を注ぐだけで食べられます)
●加熱が必要なもの
・レトルトご飯
・無洗米
・麺類であれば火の通りやすい、素麺
・パスタ類では早ゆでのマカロニやカッペリーニ、クスクス
・カップラーメン以外に袋めん(カップラーメンも便利ですが、火を使えるようであれば、麺の硬さや味の濃さを調整することもでき、小さな子ども向けです)
・餅(スライスタイプがおすすめ!お湯で柔らかくして食べることができます)
・ホットケーキミックス(おやつにも主食にもアレンジできます)
・小麦粉
【タンパク質】
こちらも過熱しなくても食べられるものを中心の揃えておくといざという時に便利。調理用の素材としても使えます。
・魚や肉類の缶詰(味付きのもだけでなく、水煮のものも料理にアレンジしやすい)
・鮭フレーク
・水煮大豆や大豆ミート
・ミートソース缶
・レトルトカレー、シチュー、スープ、おでん
・魚肉ソーセージ
・スキムミルク(牛乳の変わりに)
・高野豆腐
【ビタミン・ミネラル・食物繊維】
配給される防災食は炭水化物がメイン。野菜や海藻類でミネラルや食物繊維不足をおぎないます。ビタミン摂取には野菜ジュースやトマト缶がおすすめです。
・海藻類(わかめ、ひじき、のり、とろろ昆布)
・乾燥野菜(切り干し大根、乾燥シイタケ、フリーズドライの野菜)
・インスタントスープ
・野菜ジュース、トマト缶(調理にも利用可能)
・ふりかけ
・きなこ
【おやつ】
子どもにとってはもちろん、大人にとっても非常時の癒しになるのはおやつです。こちらも常温保存しやすいものを中心に揃えておきましょう。
・常温保存可能なプリン、ゼリー
・フルーツ缶、あんこ缶
・ドライフルーツ
・羊羹
・するめ、サラミ、チーズ
・ココア
日ごろからレトルト食品に慣れておく工夫も
いかがでしょうか?あれもこれもと思いがちな備蓄食品ですが、「カレーライス、ミートソースパスタ、具を足したスープ、ふりかけご飯、きなこ餅」など、子どもが食べやすいメニューを考えながら栄養別に揃えておくと災害時の献立にもバリエーションが出てきます。あとは前回ご紹介したローリングストック法を意識しながら、これらの備蓄食品を日常で消費しながら、新しいものを補充していきます。またレトルト食品については、月に1~2度はレトルト食品ごはんの日をあえて設けておくのもおすすめです。賞味期限切れを予防することもできますし、子どもたちがレトルト食品に慣れる機会にもなります。この日は子どもたちに盛り付けやアレンジをお願いするなど、お楽しみの日にしておくのもいいかもしれません。
災害時の頼もしいパートナーとなる子どもたち
実は災害時に頼りになるのは小学校高学年以上の子どもたちです。東日本大震災の時にも中学生の活躍があったと報告されています。災害の発生がパパの不在時であっても、こうした年齢の子どもたちであれば即戦力として助けになってくれます。小学校高学年以上の子どもがいる家庭では、備蓄品も親子で管理し、いざという時のために“親子でモノと心の備え”をしておけるとよいですね。
この記事を書いた人
- バリバリ働く社会人時代から、妊娠出産後の専業主婦期を経て夫と死別、復職。3人の息子を育てるシングルマザー。フリーランスとして創造的な人生を生きるママや女性たちのユニット「クリエイティブマムズリンク」代表。女性の「はたらきかた」をクリエイティブすることをミッションに大学院にも籍を置き研究に勤しむ日々。
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