関西生まれの編集者。ヨガやボディワーク、旅の本などに携わり、旅とヨガは似ているなと思う今日この頃。旅や転居、災害など日常と非日常の狭間で、自分を取り巻く〈内〉と〈外〉の環境を心地よくするために役立つアイテムを紹介する。今回は、書籍『病気は才能』です。
最近、テレビ番組で占いバラエティが増えてきていません? 年初めは「今年の運勢」はやっぱり気になるし、このご時世、先々の自分のことを知りたくなるのは当然ですよね(激しく共感)。でも、占星術や手相などを見てもらうことは、ちょっと特別感があって躊躇している人に合いそうな本があります。
初版から10年以上経つ。強気なタイトルに惹かれて手に取ったのだと思います。
手相、人相。年を重ねるにつれて、人の性格や本質が目に見える形で体に現れてくるだろうなと、なんとなく受け入れていたこともあってか、「病気」という形で何かが身体に現れるとしても不思議ではないと、疑うことはありませんでした。手相を見る感覚で、自分で自分の“才能”が見つけられるとしたら、面白くありませんか?
著者のおのころ心平さんは、病気や体の不調をポジティブなものと捉え、「いまだ発現されていない才能」と表現されていています。
この本では、各症状にどんな“才能”が隠されているのか、体の不調から逆引きできるのが面白い。鼻炎、虫歯、口内炎、肩こり、ギックリ腰など痛みや不快を伴う症状から、まぶたの痙攣、げっぷ、唇の端が切れる、寝汗、空咳、驚きやすいなど生理現象として片付けてしまいそうな些細なものまであります。
当時の私は、オフィスの蛍光灯の光が眩しいと、常々ぼやいていました。自分の真上の蛍光灯にだけカバーを取り付けて、快適なオフィスライフを過ごせるように工夫するほどに。当人は「病気」という意識はないので、こんなものだと思います。しかし、この本から思いがけない解決のヒントをもらいました。
……えーっと、つまり、原稿の締め切りに追われていただけ? 張り切って毎日の勤めを全うしていたということですね。眼精疲労はもちろんありましたが、これを知った時は、腑に落ちるものがあることは、こんなに心に余裕を生むのかと驚きました。思い込みは怖いし、逆に、視野を広げることは助けになる。自分を守るボーダーラインを一つ手に入れました。それ以来、この兆候が現れた時は、目を疑うのではなく、心に問うようにしています。
「ある脳科学者によると、私たちの目の前に現れる問題というのも、『問題』と『回答』の2つセットになってこの世に仕組まれているのだそうです。(中略)私たちの脳は、解答のない問題は、問題として認識できないようになっているというのです」
おのころさんは著書で、体に現れる症状を「算数の問題」のようだと表現されていました。暗算で解ける問題もあれば、紙に書いてみないとわからない問題もある。頭の中では解けない心の問題を、体という目に見える形で解きやすいようにしているのが「症状」だと。そして、病気にしろ、人間関係にしろ、経済的なことにしろ、その問題を解こうと向き合わない限り解けないし、回答のない問題もないということも書かれていました。
手相を見る感覚でだっていいと思います。身近な人と当てはまる症状があるか探してみてください。悩み事を打ち明けるための、誰かのきっかけになると本当に嬉しいです。病気を治療することはお医者さんに任せるしかありませんが、病気を治療させることは本人にしかできないのですから。
今朝、額の中央に吹き出物が出ました。思春期以来です。これは何を表しているのか。
『病気は才能』おのころ心平/著(かんき出版)
この記事を書いた人
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編集者。
(株)角川クロスメディアに勤務。その後、都内の編集プロダクションにてヨガやボディーワーク、旅の本などに携わる。関西生まれ、シンガポール在住の猫飼い。
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