災害を知る3D映像や、消火のリアル体験も。
姫路市民の防災教育を支える「ひめじ防災プラザ」


姫路市といえば姫路城や姫路セントラルパークなどの観光地として有名だが、山崎断層帯という活断層や南海トラフの影響を想定して、市民の防災教育にも力を入れているという。「ひめじ防災プラザ」は、その中核を担う体験型防災学習施設で、姫路市民なら校外学習や遠足で一度は訪れたことがあるだろう。今回は、夏休みを利用して子どもたちと一緒に見学してきたので、順を追ってご紹介したい。


姫路駅から車で約5分、姫路市役所と消防局の間にある「ひめじ防災プラザ」。2007年に地域の防災力向上と、防災を担う次世代の人材育成のために設立し、2014年にリニューアル。小学校や幼稚園の遠足、地域の自助防災組織や視察などの多くの団体客、ご家族や海外からの観光客など、さまざまな来館者が訪れているそうだ。
体験時間は約60~90分。館内には「見る」「知る」「体験する」で構成された3つのゾーンがあり、「防災体験ゾーン」ではガイドのお姉さんやスタッフの方の説明を聞きながら進んでいく流れだ。では早速、行ってみよう!

飛び出す映像や床の振動が。迫力の「3D災害体感シアター」

まずはじめに「3D災害体感シアター」に案内され、約20分間の映像を見た。Dr.ボーサイという博士と、助手のBee(ビー)というハチのキャラクターが、風水害、火災、地震の3つの災害の発生メカニズムについて、科学的に解説してくれる。3Dメガネを着用して見る飛び出す映像や、ダイナミックな音響、ボディソニックという特殊演出装置で、災害現象を体感する。7歳の息子は「そんなに怖くなくてよかった。わかりやすかった」と言っていた。
ちなみに3Dやボディソニックなどの特殊演出が苦手なお子さん向けに、アニメの映像も用意されているそうだ。

その時、どうする?災害時の動きをシミュレーション

3D映像を見終わると、「地震直後の街並み」を再現した空間を通って、「災害直後の対応コーナー」へ。まず家庭の防災対策として、水・備蓄食、防災用品など何をどのくらい備えればいいのかを教わる。いろんなグッズが並べてあったが、塩水だけで発電できるポータブル水発電機は、使い方も簡単で、ソーラー発電機と併用するのも良さそうだ。

補足だが、姫路市はアルファ米や長期保存食などの非常食を、約15万食をストックしており、防災教育の一環として、5年の消費期限より約半年前に、姫路市内の小学校へ非常食を提供している。

次に地震発生時、どう行動すればいいのかをはじめにやってみる。TVに緊急地震速報が流れると、子どもたちと一緒にダイニングテーブルの下へ。ガスの火がついている場合は、コンロを切り、元栓を閉める。避難する時は、ブレーカーを落とすのを忘れないようにする。

風水害では、屋内の浸水を想定した、水圧のかかるドアの開閉を疑似体験する。まずは10cm水深のドアを開いてみる。約10kgの水圧がかかっているそうだ。ドアを開くことができて子どもたちは満足そうである。
次に50cm水深のドアに挑戦。全く開かない。約100kgの水圧がかかっているという。筆者がトライして何とか開くことができた。
浸水する前に、早めの避難が肝心である。

お楽しみのちびっこ消防士と消火にチャレンジ

「災害直後の対応コーナー」の後は、「消火体験コーナー」へ移動。子どもたちが消防士となって、消火活動を行う「ちびっこ消防士」にチャレンジ。火災発生による緊急出動の指令を受け、ミニ消防車に乗り込む。スクリーンに投影された現場の火災ビルに到着すると、ホースを握り、炎に向かって、リアルな水を噴射する。うまく命中すれば、だんだんと火が消えていく。子どもたちも真剣に取り組んでいた。
通常の体験では、子ども用の防火衣を着ることもできるそうだ(今回はコロナ感染予防のため着用できなかった)。

大人は、ここでは消火器の取り扱い方を学ぶ。スクリーンに映し出された、天ぷら鍋の油火災を消火器を使って消していく。
ちなみに一般的な消火器の噴射時間はどのくらいご存じだろうか。10~15秒程度だと聞いて驚く。思いの外、短い。もし消火器で鎮火できなければ、諦めてすぐ避難してください。

この他、火災時に煙から逃げる術を学ぶ、煙中避難体験のコーナー(コロナ感染予防のため休止中)や、希望者にはAEDを使った救急・救命体験ができる(要予約)。

最後に「地震直後の街並み」へ戻り、スクリーンに映し出された、防災のおさらい映像を見る。子どもたちのお土産にと、シールと缶バッチをいただいた。

防災学習体験はここで終わりだが、お時間ある方はエントランススペースの防災情報ゾーンも見てみよう。ハザードマップなどが閲覧できるタブレット端末や、防炎製品が並んだ家庭防火コーナーがあり、防災についての知識をさらに深めることができる。

この防災学習体験を通して、自分の命を守る力が自然と身についたように思う。
体験案内は、1日13回、1回目は9時40分~、最終回は16時~、団体予約で満席のこともあるので、一度問合せてからでかけよう。
この夏は、子どもから大人まで楽しんで学べる「ひめじ防災プラザ」にぜひ行ってみてはいかが。

姫路市消防局 ひめじ防災プラザ
観覧時間/午前9時30分〜午後5時(入館の最終受付は午後4時まで)
休館日/月曜日・毎月第3火曜日(祝日の場合はその翌日)・年末年始(12月28日~1月4日)
入館料/無料
〒670-0940 兵庫県姫路市三左衛門堀西の町3番地
予約・問合せは、079-223-9977まで

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この記事を書いた人

しまかもめ
しまかもめフリーライター
(株)大阪宣伝研究所にコピーライターとして勤務。その後、デザイナー、編集者、フリーペーパー営業、ネットショップ企画運営を経て、独立(コトバアトリエ)。神戸市在住の3児の母。