もしも職場で災害に遭ったら?
デスク周りに備えたいオフィス用の防災グッズ


もし東京の職場で災害に遭ったら、発生から72時間はオフィスに留まることが求められているのはご存じだろうか。
2011年の東日本大震災では交通機関がマヒし、帰宅困難者が約515万人(内閣府推計)発生した。そのため2013年に「東京都帰宅困難者対策条例」が制定され、東京都内の事業所は従業員を3日間施設内に待機させ、その間必要な飲料水、食料などを備蓄するよう求められている。また地方であっても、職場で災害が発生すれば、落ち着くまでオフィスで過ごしたり、長時間歩いて帰宅することもあるだろう。いずれにしても、どのやって難を逃れるか。
今回は、企業防災にも詳しいMT-NET広報の久保さんに、オフィスで備蓄したいおすすめの防災グッズについてお話しを伺った。

 書棚にすっぽり、A4サイズの防災セット

企業としてしっかり防災備蓄していても、収納スペースの問題でビルの地下階や倉庫に保管されているケースは多い。
もし、従業員一人ひとりのデスク近くに防災セットを備蓄すれば、さっと取り出してすぐ避難することもでき、それだけで安心感を得られるのではないか。

本棚収納 A4BookType 防災セット」シリーズは、ファイルボックス風の箱に、必要な防災アイテムが収納されているセットだ。A4サイズ(W80×H230×D280)とコンパクトで、書棚や引き出しにすっぽりと収納できる。オフィスにも馴染むデザインが嬉しい。

「法人や団体のお客様向けには、大ロットのケース販売をすることが多いですが、特に小規模のオフィスでは個数が合わず、収納スペースもないという声がありました。そこでアイテム数を絞り込み、書棚やデスク周りに置けるコンパクトな防災グッズを開発しました」と久保さん。

1箱で一人分。パッケージのカラー毎に用途が異なる。
イエローの箱は、非常用持ち出しセット。内容は、長期保存水(5年保存)500ml、ブルボン缶、ソーラー&ダイナモLEDライト、非常用トイレ、軍手、ホイッスル、ポリ袋、フェイスタオル、防災手帳など。
オレンジの箱は、非常用寝具セットで、コンパクトエアーベッド、エアー枕、毛布、アイマスク入り。
ピンクの箱は、非常用トイレセット。断水したときに水洗トイレで使用する凝固剤や袋が入っている。
グリーンの箱は、非常用救急セットで、サージカルテープや冷却シート、ゴム手袋、ハサミなどを揃えてある。

「東京の帰宅困難者対策で、あるいは地方都市で言えば、自宅や帰宅支援ステーションに向かう間、ちょっと喉を潤したい、少しでも安全に移動したいという時に役立つ商品になっています。避難所に身をよせるケースでも、災害直後すぐには物資は到着し難いですし、こちらを使って急場をしのいでいただけたら、と思います」

災害時のNO.1トラブル、トイレ問題に備える

防災対策として最重要事項のひとつが、トイレ対策だ。
1995年の阪神淡路大震災では、断水でトイレの水が流せず、排せつ物で溢れたことが大きな問題になった。トイレに行く回数を減らすため、水分を控えたことで脱水症状やエコノミー症候群など被災者の健康被害が多数報告された。
加えて劣悪な状況のトイレ環境を、元のクリーンな状態に戻すことはかなり困難を極めたという。
残念なことに、災害が起こる度にこのトイレ問題は繰り返されている。

「災害物資支援、行政の供給サービスは、早ければ3日、長くとも約2週間ほどではじまっています。それまでのトイレ対策として、緊急戦隊トイレマンという商品を用意しています」と久保さん。


緊急戦隊トイレマンは、断水などでトイレが使用できない時の非常用簡易トイレだ。既存の洋式トイレに袋(蓄便袋)を被せ、凝固剤を投入。用を足したら、袋をまとめ、45リットルの消臭袋に捨てる。
「消臭袋には、袋自体に臭いを吸い取る効果があり、少なくとも2週間は消臭作用が働きます。自宅でも試したんですが、袋を軽く結べば、臭いがキレイになくなりました。そのフレッシュな状態は少なくとも2週間以上続きました」

1箱100回分入っているが、こちらもA4サイズとコンパクト。
1日平均4~7回排泄すると考えると、3日で約21回、2週間で約98回。3日であれば4人で1箱あれば足りるだろう。被災する前に、ぜひ一度試してほしい。

防災業界のトップリーダーをめざして

防災用品の取り扱いだけでなく、時東ぁみさんとのコラボレーション、災害備蓄品の管理システムの開発を手掛けるなど、幅広い防災事業を行ってきたMT-NET。
元々は理容関係のソフトウエア開発企業として1996年に創業。2006年に、理容用品を中心にECショップを立ち上げた。一方で当時まだ少なかった防災リュックの販売にも踏み出したところ、人気商品に。2008年から本格的に防災事業に取り組んでいる。
「弊社は長らく防災事業に携わってきました。企業として、これからの防災業界を牽引するトップリーダーをめざし、進んでいきたいと思います」と久保さん。

久保さんご自身は、4年前からMT-NETに在籍しているが、これまでの約17年間、防災関連の企業で広報を担ってきたという。また防災士をはじめ、防災備蓄管理士、消防設備士など多数の資格を所有し、NPO法人 兵庫県防災士会の理事も務めている。
「防災教室やイベントに読んでいただくことが増えてきましたので、そこでしっかり防災対策、備蓄についてお伝えしていきたいと思っています。まずはみなさんに、自分でもできそうだ、と楽な気持ちで備えていただくことが目標ですね」と話してくださった。


オフィスでの災害をサバイブできるかどうかは、災害備蓄のノウハウで決まってくると言えそうだ。自宅はもちろん職場での備えを改めて見直してみたい。

株式会社MT-NET
神戸にある防災サポート会社。主な事業は、防災用品の企画・製造・販売。企業防災のサポート。ECサイトクラウドサービスの運営。本社は神戸、東京日本橋に法人事業部のオフィスがある。
1994年、高知県にてソフトウエア開発会社として創業。1996年、有限会社MT-NET設立後、神戸市に移転。2006年、Eコマース事業を開始。2007年、防災用品の販売を開始。2012年、オンラインショップ「防災専門店MT-NET」オープン。

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この記事を書いた人

しまかもめ
しまかもめフリーライター
(株)大阪宣伝研究所にコピーライターとして勤務。その後、デザイナー、編集者、フリーペーパー営業、ネットショップ企画運営を経て、独立(コトバアトリエ)。神戸市在住の3児の母。