国内最大級の防災イベント「第7回 ぼうさいこくたい2022」が10月22日、23日に関西で初開催された。内閣府を中心とした実行委員会が主催し、延べ約320の団体やボランティアグループが参加。今年は「未来につなぐ災害の経験と教訓~忘れない、伝える、活かす、備える~」をテーマに、さまざまなプログラムや展示が用意され、過去最大規模で実施された。同時に「ALL HATひょうご防災フェスタ2022」も規模を拡大して開催。22日に筆者も家族と一緒に来場したので、一部ご紹介したい。
子どもと一緒に楽しむ防災プログラム
会場は「HAT神戸」と呼ばれる神戸市灘区のベイエリア。人と防災未来センター、JACA関西、IHDセンタービル内で行われた屋内のプログラムゾーンと、その前に広がるなぎさ公園での屋外展示ゾーンがあった。
筆者は子ども連れだったので、なぎさ公園で子ども向けプログラムを楽しむことにした。
最初に、ろっこう紙芝居サークルの津波防災紙芝居「いなむらの火」を見た。「いなむらの火」は1854年の安政南海地震津波(南海トラフ大地震)での実話を元にした和歌山県に伝わる昔話で、収穫した大切な稲に火をつけ、多くの村人を救った男の話だ。青空の下での紙芝居は心地よかった。
次に兵庫県立舞子高等学校・環境防災学科の生徒さんによる「ひまわり防災連れ楽習迷路」に参加。阪神・淡路大震災にまつわるクイズを解きながら、出口をめざすリアル迷路だ。阪神・淡路大震災で自ら被災しながらもボランティアとして活動された、NPOひまわりの夢企画代表の荒井さんが企画されたのだそう。子どもたちは、やさしい高校生のお兄さん・お姉さんのサポートを受けながら、ゴールをめざした。
「まちキャラパークinぼうさいこくたいKOBE 2022」のブースには、神戸のレスキューヒーロー「未来特救(みらいとっきゅう)ゴッドイーグル」が2095年の未来からタイムリープして登場!悪と戦い、子どもたちのために防災・減災を教えてくれた。アクションもかっこよく、小さな子どもたちに大人気であった。
ALLHATひとぼうステージでは、トークライブや音楽ライブも行われていた。残念ながら筆者は見られなかったが、23日には防災音楽ユニット「BloomWorks」が総合プロデュースしたライブが行われ、元祖メガネアイドルで防災士でもある時東ぁみさん、シンガーソングライターの幹mikiさんなど、防災と縁の深いミュージシャンたちが会場を盛り上げていたそうだ。
地震体験車では震度7を体感。VRで土石流体験も
列をなして人気だったのが、神戸市消防局の「地震体験車(ゆれるん)」だ。トラック荷台の側面開口部がダイニングを模した空間になっていて、テーブルや椅子、天井部分にライトもある。椅子に座って震度7までの揺れを体感できるわけだが、正直座っていられないほどの振動である。参加者は悲鳴をあげながら、テーブルにつかまっている。子どもたちも「すごい揺れだった」と口ぐちに言っていた。震度7の地震がきたら「一歩も動けないかも」と感じる。家具などの転倒防止対策は必ずやっておきたい。
地震体験の後は、隣のヴァーチャルリアリティ(VR)コーナーへ。土砂災害を疑似体験できるプログラムだ。VRゴーグルを装着し、仮装空間内の住宅街の路上で豪雨に襲われる様を体感。坂の上から押し寄せる濁流を感じ、流されてきた太い木の枝などの危険物にぶつかったりもした。災害に巻き込まれないためには、早めの避難が大切だと肝に銘じる。
オンラインからも参加OK!防災意識高まる2日間
海岸沿いに向かうと、一般社団法人減災ドローン協会(DEO)のドローンが空高く飛んでいたり、国土交通省の海面清掃兼油回収船「Dr.海洋」が接岸していたりと歩くだけでも楽しい。ちなみに「Dr.海洋」は、自然災害で海上に流されたゴミや油を回収したり、海水を真水に生成する海水淡水化装置が付いているそうだ。その他、最新の救援車や災害トイレ、非常食などの展示も多数あり、お土産をいただけるブースもあった。
時間の関係で、室内のプログラムには参加できなかったが、オープニング・クロージングセッションをはじめ、「災害報道サミット~避難を伝える“最前線”の戸惑いと挑戦~」「防災分野へのドローン利用の最前線」「気候変動×防災~サスティナブルなまちづくり、コミュニティを考える」など、多数のトークセッションが行われていた。また「写真洗浄体験」「お天気キャスターに挑戦」「ぽけもんぼうさいきょうしつ」といったワークショップもあった。オンライン配信もあり、今後アーカイブ動画が順次アップされるそうだ。
今回は子ども向けのプログラムを中心に回ったが、中高生や大人も楽しみながら防災への関心を深められるイベントになっている。2023年は横浜市で開催予定とのこと。ぜひ行ってみてほしい。
ぼうさいこくたい(防災推進国民大会) 2015年、第3回「国連防災世界会議」で新しい国際的防災指針「仙台防災枠組2015-2030」が採択され、各国政府は市民団体と協力し、災害リスクの低減を奨励。これを受け日本では防災推進国民会議を発足し、内閣府、防災推進協議会とともに、国民の防災意識向上を図るべく、2016年に第1回ぼうさいこくたいを開催。今年で第7回目。 ALL HATひょうご防災フェスタ |
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