インテリアブランド発
“置いておきたい非常食”のエマージェンシーブレッド


テレビやインターネットで、地震や集中豪雨など災害のニュースを目にするたびに、「ああ、防災対策やらなきゃな」と思う人は多いだろう。しかし、防災グッズというのは実用性重視で、すぐ取り出せる場所に置くには目立ちすぎることがある。結局、対策をしたとしても、押し入れや納戸の奥に追いやられたりして、いざという時、取り出せない。
そこで、株式会社グローバルフォルムコンクリート代表の健石さんに、同社の食ブランド「MAM CAFE」で販売している非常用パン缶のことなど、お話しを伺いました。

普段の朝ごはんやこどものおやつとしても

株式会社グローバルフォルムコンクリートは、「ライフスタイルの充実」をテーマとし、主にインテリア雑貨の企画・輸入・卸・販売をしているメーカーだ。2002年、タイのインテリアブランド「Propaganda(プロパガンダ)」の輸入代理店からはじまったという。

現在は、インテリア商品を中心に、バッグや食品、アウトドアグッズまで14のブランドを展開。そのひとつ「MAM CAFE」は、「古き良きを、新しく」をコンセプトに、日本各地の伝統的な食文化をギフトにして販売しているブランドだ。


最初は、リアルなカフェとして2008年に羽田空港でオープンした。そのうちに、健石さんは、観光や出張などで東京を訪れる人々のため、羽田空港という立地を生かし「日本の玄関口で地方の名産品を販売しよう」と考えた。これまでの同社のインテリア製品を卸してきた全国のショップとのつながりを活かして、地場の食品メーカーや生産者とタッグを組んで共同開発を行い、多彩な食ギフトを生み出すというお土産事業を行った。これが今の「MAM CAFE」の元になった。
2018年、羽田空港の「MAM CAFE」は惜しまれつつ閉店したが、現在は自由が丘に本店を構え、まだ東京には届いていない日本全国のおいしいものを発掘し、その歴史ある技やこだわりの素材や味に“今らしさ”を融合した食ギフトを多数取り揃えている。


そんな「MAMCAFE」から紹介したいのが「エマージェンシーブレッド」だ。シンプルなパッケージの缶詰で、開けるとカップケーキ状のデニッシュパンが2つ入っている。できるだけしっとりとした食感が残るよう工夫され、そのままでもおいしく食べられる。もちろんレンジで温めると、より一層おいしい。味は、甘いチョコを練り込んだチョコレート、豊かな香りが広がるメープル、バターの風味が楽しめるプレーンの3種類。賞味期限が製造から3年半あるので、防災用として備蓄できるのはもちろん、普段の朝ごはんやこどものおやつとしても楽しめるので、ローリングストック食品としても活用できそうだ。

日本の食文化を世界へ届けたいという健石さん

防災商品に興味をもちはじめたのは2011年、東日本大震災の年だった。
「東京はすごく揺れましたよね。それで否応なく防災を意識するようになって。そんなとき偶然ご紹介いただいたのが非常食としてパン缶を製造している企業でした」。
こうして一緒に「エマージェンシーブレッド」を開発することになったそうだ。

「それまで流通されている防災商品は、目的を果たせれば、デザインにはあまり気を遣わないものが多かったと思います。震災後、僕らのマーケット(インテリア業)の中でできることは何だろう、と考えたとき、緊急事態時に見栄えを気にしている場合ではないですが、常に部屋の中に置けるインテリア性があれば、普段から目に留まり防災意識が高まりそうだな、というところから開発を進めていきました」と開発経緯を話してくれた健石さん。おいしくて、キッチンやパントリーに並べてあっても違和感のないのが魅力だ。

このエマージェンシーブレッドは、「MAMCAFE」本店やWEBショップで購入できるんだそう。また、同社の商品を取り扱っているセレクトショップでは、神戸(セレクトショップの激戦区だそうだ)のTRUSS FURNITURE & GENERALSTORE(トラス)などで販売している。その他、「MAMCAFE」ポップアップストア(期間限定ショップ)として、東京ではパルコやマルイで販売されてきており、今後も各地でオープン予定が続いている。

「ポップアップストアを継続しながら、いずれ直営店を出店する予定でしたが、コロナ禍の中、なかなか難しい状況でして。今年はセレクトショップ内にSHOP IN SHOP型でMAM CAFEのコーナーを作っていきたいと考えています。また、海外のショップからMAM CAFÉ商品のオーダーを頂き、既にいくつか納品しています。これから海外向けの日本食ギフトの輸出は伸びそうですね」

今後の展望としては、コロナ前のように海外の拠点を訪れたいという。
「インテリア関係の話になりますが、企画は日本で行い、製造は中国、韓国、台湾、タイ、インドで行っているんですね。コロナの影響でここ2年ほど行けていないので、また落ち着いたら海外のスタッフたちに会いにいきたいですね」とのことだ。

地方とのつながりを大切に、日本の食文化を世界へ届けたいという健石さん。地球規模で災害が増大する今、長期保存できるエマージェンシーブレッドが各国のキッチンに並べられる日も近いかもしれない。

MAM CAFE
「古き良きを、新しく」をコンセプトに、日本各地の伝統の味に「今の視点」をプラスしたおいしい食ギフトを取り揃えている。マカロンのような最中にスープ、お吸い物、お茶漬けをとじこめたモナカシリーズや、スイカ風の葛切り、グミのようなペクチンゼリーなどが人気。本店は東京 自由が丘にある。
(本店)
〒152-0034 東京都目黒区緑が丘2-5-2
TEL 070-4460-4702
営業時間 12:00 – 18:00
定休日 Instagramでお知らせしています。

 

健石 直材(たていし なおき)
1979年生まれ、東京都出身。
株式会社グローバルフォルムコンクリート代表取締役。
「Goody Grams」「Propaganda」「GRACE」「MONIQUE CHARTLAND」「Add」「FiiiiiSH」「The House Footwear」「CODDLE」「PAPER STORAGE COMPANY Since1855」「MARS MERS」「MAM CAFE」「Stream Trail」「Angler’s House」「SMALL GOOD THINGS」のインテリア雑貨、バッグ、食品、アウトドアグッズなど14ブランドを展開。趣味は旅行。放浪癖あり。

防災 記事一覧

この記事を書いた人

しまかもめ
しまかもめフリーライター
(株)大阪宣伝研究所にコピーライターとして勤務。その後、デザイナー、編集者、フリーペーパー営業、ネットショップ企画運営を経て、独立(コトバアトリエ)。神戸市在住の3児の母。