「KOBOhut(こぼはっと)」とは、兵庫県丹波の里山を守るために生まれた、アウトドアロッジのこと。防災サービス事業を展開する(株)神防社で、「KOBOhut」プロジェクトを手掛ける、営業・企画事業部の相川さん、芝さんに詳しくお話しを伺った。
神戸の春日野道を拠点に、消防設備の設計施工・保守点検を手掛ける(株)神防社。硬派な事業内容だが、自社社員が解説する消火器の使い方等の動画を提供したり、防災食が楽しめる居酒屋「炭火酒場 STAND 555(スタンド ハハハ)」(現在リニューアル中)を運営したりと、ユニークな取り組みも行っている。
「KOBOhut」もそんな取り組みの一つと言えるかもしれない。「KOBOhut」とは兵庫県丹波市に建てられたアウトドアロッジのことだ。2021年9月に販売スタートし、当サイトでも取り上げたことがある。
この事業は、丹波の森林整備を担っていた「森のわ」との出会いではじまったという。
「山というのは管理が大変なんですね。定期的に間伐して手入れをしないと、荒廃し、弱くなる。そうなると景観も損なわれ、土砂災害といった自然災害を引き起こしやすくなります。しかし、整備費用や税金の支払いなども必要で、山を維持する地主さんの負担はかなり大きいんですね。そこで防災を担う神防社として何かできないかと考え、森のわさんの協力を得てはじまったのが、KOBOhutプロジェクトです」と相川さん。
KOBOhutプロジェクトは、間伐材でロッジをつくり、その収益の一部を山の所有者に家賃として支払う仕組みのことだ。山の間伐サイクルと間伐材の寿命は概ね10年なので、ロッジの契約期間も10年に設定している。そのサイクルに合わせて約10年後に解体し、山林にかえして、里山を守っていく取り組みだ。
ロッジは2タイプある。1棟(約10㎡)にデッキスペースの付いたシングルタイプと、2棟にデッキスペースの付いたダブルタイプだ。両タイプとも、シャワー、トイレ、ロフト、流し台、たき火スペースなどを備えている。10年契約だが、希望があれば10年以上の継続利用もフレキシブルに対応したいという。
場所は、大阪・京都・神戸から車で約1時間、丹波市青垣町の山あいにある。関西在住の人は比較的短時間で訪問できるため、二拠点生活先のひとつとして注目度は高い。目の前に広がる豊かな自然に癒され、休日のリフレッシュの場におすすめだ。
近隣にはレジャースポットも豊富だ。イチゴ狩りやあまごのつかみ取りなどの体験ができるスポットもある。兵庫県の紅葉ランキングでよく登場する高源寺は歩いていける距離だ。
日本で唯一の鹿肉料理専門店「無鹿リゾート」とも提携しているので、ジビエを使ったBBQを楽しんでみるのもいい。
また、KOBOhutを個人として所有することはもちろん、法人や団体グループが、福利厚生サービスの一環として導入することも可能だ。SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」や、目標15「陸の豊かさも守ろう」にも貢献しているので、保養所代わりに導入した企業は、同様のSDGs目標を事業方針として掲げることができる。
新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、リモートワークが急速に普及したが、都会の住宅事情では、充分なワーキングスペースを確保するのは難しい。そこでコワーキングオフィスとしての活用もできる。自然を感じながら働くことで気分転換にもなりそうだ。
さらに、万が一のときの避難先としても使えるという。
「例えば、南海トラフ地震は30年以内の発生率が70~80%であり、いつ起きてもおかしくない、と言われていますよね。もちろん、被害の大きさは起こってみないとわかりませんが、丹波地域の被害が少なければ、被災後の避難先になり得るのではないかと思っています」と芝さん。
今後は、KOBOhut通して、地域創生への貢献も想定している。
「ロッジ利用者は、新しい住民として、地域のお祭りやイベントに参加することもできます。KOBOhutを通して、地域活性化に協力できればうれしいですね」と芝さんはいう。
リフレッシュ先、仕事場、防災の拠点として、小さな「KOBOhut」の持つ、大きな豊かさをぜひ体験してほしい。
株式会社神防社 消防・防災サービスの会社として、2008年に設立。神戸の春日野道を拠点に、大阪・東京・姫路に事業所を、神戸市灘区に工場を持つ。主な事業は、消防設備の設計施工・保守点検、消防・防災用品の販売など。従業員数80名。クレドは「そこまでやるかKOBOSHA」「バリ正直」「バリ進化」「バリ愛情」※「バリ」とは、神戸弁で「めっちゃ」「すごく」の意。 KOBOhutは、丹波及び神戸ショールームにて見学できる。問い合わせはこちらから。 |
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