自販機でも災害対応 
宮崎のアウトドアショップ「3field」オーナー 児玉さん


宮崎港から徒歩15分、青いクローバーが目印のアウトドアショップ「3field」はある。キャンプ用品を中心に、防災グッズ、インテリア雑貨を販売し、地元で愛されるショップだ。こちらを運営している(株)FOFの代表、児玉さんに、これまでの経歴や防災についてお話を伺った。

経験を活かし、柔軟な働き方を求めて起業

アウトドアショップ「3field」を立ち上げた児玉玲子さん。元々は宮崎県の電気設備系専門学校を卒業し、「シーガイア」でおなじみのフェニックスリゾート(株)でホテルの設備・点検の仕事に従事していたそうだ。その後、建築会社や土木系のインフラ企業で働き、2018年に(株)FOFを起業する。
「会社員でもよかったんですけど、子育て中に父が倒れたりして、仕事との両立が難しくなってきたんですよね。それで働き方を見直そうと、これまで携わってきた土木建築の分野で起業しました」

現在、インフラ構造物の点検・調査と、アウトドア用品の販売という2つの事業を柱として展開する(株)FOF。
土木系インフラ事業では、主に橋梁の点検・調査に取り組んでおり、VRでの現地踏査サービスやドローンを使った撮影など、最新技術を取り入れたサービスを提供している。
一方で、自身の趣味であったアウトドアをもうひとつの事業として立ち上げ、オンラインショップ「3field」を開設。コロナ禍のキャンプブームに乗って、2020年には実店舗をオープン。2021年にはリニューアル移転するまでに成長している。

仕事柄、防災はいつも身近だった

防災と関わるようになったのは、自然な流れだったという。
「建築や土木業界いると、災害のことも重点的に考えるので、防災への意識は自然と高くなります。仕事柄、防災士の資格を取得している方も多いですね。私も5年ほど前に取得しました」と児玉さん。

「3field」では、非常食や防災グッズも充実している。
おすすめの商品は、水またはお湯を入れてできる「携帯おにぎり」。簡単にできるので、非常食としてはもちろん、アウトドアでも楽しめる。キャンプ前に立ち寄り、購入するお客さんも多い人気商品だ。また、店頭には非常時にも対応できる自動販売機を設置している。
「災害はいつ起こるのかわからないですよね。社として何かできることはないかと思いついたのが、この災害時にも対応できる自動販売機です」

児玉さんの発案でできたこの自動販売機。内部に発電機と蓄電装置を取り付けており、停電時には正面の黄色いカバー内のハンドルを回すことで、発電できる仕組みだ。ここでUSB電源が取れるので、スマホなどのちょっとした充電ができる。自販機の上下段には飲料を、中段には先ほど紹介した「携帯おにぎり」などの非常食や「トイレセット」などの防災グッズをそろえている。普段は一般的な自動販売機として利用され、定休日や閉店後には非常食や防災グッズも売れているそうで驚きである。
困った時は、この自販機をぜひ利用してほしい。

モチベーションアップにつながる地域貢献を

防災に関しては、これからイベントなどを通して啓発活動をやっていきたいと児玉さん。
「宮崎の土地柄もあって、みなさん、とても平和な雰囲気なんですね。でも、災害はいつあってもおかしくない。当店は海から近く、津波災害警戒区域に指定されていますし、今後は防災イベントなどを通して地域に発信していければ、と思っています」

また、経営者として、みんなで会社を盛り上げていきたいと児玉さんは話す。
「仕事を通して地域とつながることが、スタッフのモチベーションになっていると思います。みんなでそのモチベーションを共有しながら前に進んでいきたいですね」

上下関係があまりなく、フランクな空気感が「3field」の魅力だという。その魅力を大切に、社内だけなく、地域ごと一緒に盛り上げてくれそうだ。

児玉 玲子(こだま れいこ)
1973年鹿児島生まれ宮崎育ち。電気設備系の専門学校を卒業後、フェニックスリゾート(株)に入社。その後、建築や土木インフラ系の企業で働き、2018年(株)FOFを設立。同年、アウトドア用品のオンラインショップ「3field」を開設。2019年、「3field」の実店舗をオープン。2020年、「3field」をリニューアル移転する。
趣味はキャンプ。収納ボックスにキャンプギアをぴったり入れるのが好き

 

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この記事を書いた人

しまかもめ
しまかもめフリーライター
(株)大阪宣伝研究所にコピーライターとして勤務。その後、デザイナー、編集者、フリーペーパー営業、ネットショップ企画運営を経て、独立(コトバアトリエ)。神戸市在住の3児の母。